Review: MAN VS. HUMANITY - In The Line Of Fire CD (by Kazu Acclaim)
MAN VS. HUMANITY - In The Line Of Fire CD
南西ドイツ出身のポリティカル・セミ=カオティック・メタリック・ハードコアの2001年リリース作。本作以前の作品「Anti Imperialist Culture Sound」7"EP(1999)、split 7"EP with My Hero Died Today(1999年)&Bury Me Standing(2000年)はどれも力作だったが、本作はファースト・アルバムだ。
そのサウンドは、Born Against、Rorscharch、あるいはEbullition Recordsといった90年代のU.S.ハードコア・コミュニティ/カルチャーに洗礼を受け、90年代初頭のドイツに続々と登場したカオティックかつメタリックな「ジャーマン・スタイル」を基盤に持つ。カオティックさもあるが、どちらかというと重苦しいスタイルである。それは90年代中期からいまだ世界中のDIYパンク/ハードコア・シーンを席巻し続けている一つの潮流―His Hero Is Goneの影響も確かに感じさせるのである。彼らほど「ストレート」でもない変則的な展開は独特のものとも言えるだろう。
ヴォーカルは聞き取りやすくはないが、言葉の一つ一つを丁寧にシャウトする唄法で、絶叫に終始していないのは言葉数の多い歌詞を読めば理解できる。
歌詞を総じれば、「代議制民主主義」という現下の国家体制のその構造的な暴力に掠め取られた「生」を取り戻すこと―そのことは「自由」への限りない切望から生まれる永続的な闘争心の表現ということができるかもしれない。「Man Vs. Humanity」 (人間 対 人間性)というバンド名の意味するところは、勝手な解釈に過ぎないが、社会通例「人間性」=「人間らしさ」というとき、すぐに「正当性」に還元してしまうことに対する疑心の表現である気がする。その原因は、軍隊・警察・裁判・監獄・死刑制度という「代議制民主主義」の暴力と支配の装置が「正当性」を持って巧妙に機能し、私たちもそれを当たり前の「人間性」として受け止めていることにある。
では、そうではない「人間性」とは何であるのだろうか。例えば、そのような「権力」の呪縛から自由な「人間性」だろうか。だが、そのような潔白な、ありのままの「人間性」などありはしないだろう。私たちは生まれながらにして、支配と服従の関係に生きている。だからこそ、このバンドは「人間」は「権力」が提示してくるような「人間性」と「交わる」ことなく、常に「対する」ことで、その意味を各自見出していかなければならない―という提起をしているように思える。「Man Vs. Humanity」(人間 対 人間性)というバンド名と共に、彼らがそう名付けた背景を歌詞とともに考慮する価値はある。
split 7"EP with My Hero Died Todayにおいても、「Goverment Vs. Individuals」(政府 対 個人)と題して、「代議制民主主義」の構造暴力を批判している。
現下のコロナ禍において「権力」や「マス」メディアの「人間性」の扇動は、正直私たちの「思考」を優先していると言わざるを得ない状況である。「人間性」は、奴らが主導する「新しい生活」を「承諾」することではない。私がここで述べた「Man Vs. Humanity」(人間 対 人間性)の意味を考慮することは、私たちがまた現下を「生き延びる」術を身につけることだと思っている。
Released by Troubleman Unlimited (2001)
Reviewed by Kazu Acclaim