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Review: I KNOW – The End of Democracy 10” (by Kazu Acclaim)

ヨーロッパにおける「最後の独裁国家」と呼ばれる旧ソ連・ベラルーシでは、2020年8月の大統領選を機に、ルカシェンコ大統領の退陣を求める大規模な抗議行動が起こっている。アナキストやアンチ=ファシストへの弾圧も猖獗を極めている。

この一連の抗議行動におけるアナキストやアンチ=ファシストの実情を知らせる意味でも、現在は活動しているか不明だが、2007-2010年頃に活動していたベラルーシのI KNOWというアナ―コクラスト・バンドの "The End of Democracy” (民主主義の終焉) 10" を紹介したい。本レビューは、私が当時書いたものを加筆・修正した。本作はAcclaim Collectiveでも扱っているので、興味あれば聴いてみてほしい。

I KNOW – The End of Democracy 10”

旧ソ連・ベラルーシのアナキストパンク・バンド。別名―モーターライズド・クラスティー・アナーコパンク ”I Know” の2010年リリース10”。 2007/2008年及び2006年の2つのセッションを収録した全12曲収録 (2006年のセッションはRebel SceneからリリースされたBagnaとのsplit CDの音源を数曲リマスタリングしたもの)。Antiglobalizator、JiheartらのヴォーカリストであったDashaをフロントに配するI Knowは、例えばBallastのような現代的なメロディック・クラスティー・ハードコアの影響濃いサウンドといっていい。だが、根っこにあるのは前述のAntiglobalizator、Jiheartらのロシア語圏ベラルーシ・バンドで、その独特の雰囲気は「スタイル」を特定するのは難しい。

DIYパンクに根差した活動及び政治活動、そして日常生活が強く関わり合っていることが伺える歌詞からは、この世界で私たちを取り巻いているものーこの世界でなにが悪いのか―改めてそのことを考え続けなければならないことを想起させる。彼らが水平的な行動主義者としてのパンクスであろうとしていることは明白だ。表題曲 “The End of Democracy” は2007年3月に強制排除を受けたコペンハーゲンのUngdomshusetを大々的に取り上げた曲。ジャケットはシルクスクリーン印刷である。

べラルーシはヨーロッパにおける「最後の独裁国家」といわれている。人々は1994年の初当選以来、3選を果たし、実に25年以上もの間大統領の座に居座り続けているルカシェンコ独裁政権の下にある。この国の体制は唯一の違いがあるにせよ、同じ企業新自由主義 (コーポレート・ネオリベラリズム) であり、政府が主要な企業である。国家からすれば自立・独立することを人々に教授できるので、小企業がないとの意味がそこにある。そうした状況下では、控え目にいっても、いかなる市民的イニシアチブによる最低生活も政府に援助されないという。また、100~200人のメンバーがいるすべての団体は民兵やKGB管理の下で自動的に解散させられるという (つまり違法)。

DIYパンク/ハードコア・シーンもいうにおよばずこの不平のなかに存在している。ちなみに、あるベラルーシのパンクスは「俺たち (パンクス) が比較的安全なところにいるのは分かっている。俺たちは殺されたり、拷問されたり、長期間投獄されたりすることさえない」といっていた。彼がまた「ビロードのような独裁体制」といっていたのが思い起こされる。だが、 I Knowのような闘士の姿勢を取っているアナーコパンクスは地下で活発にうごめいているのだ。

ヨーロッパにおける「最後の独裁国家」と呼ばれる旧ソ連・ベラルーシでは、2020年8月の大統領選を機に、ルカシェンコ大統領の退陣を求める大規模な抗議行動が起こっている。アナキストやアンチ=ファシストへの弾圧も猖獗を極めている。

本作において彼らの一端を垣間見てもらえれば幸いである。

Released by Stonehenge Records (2010)

Reviewed by Kazu / Acclaim