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THE INB / FILASTINE - No G8 Action Japan Benefit split CD (U-Do-Sha)

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2008年7月に開催された北海道・洞爺湖でのG8会議への抗議行動・対抗運動の一環として、「音楽」による取り組みもこの界隈で着々と進行された。Acclaim CollectiveもGotcha / Rosapark "Punks Against G8" split CD (ACM023) をリリースしたが、その先陣を切って、U-Do-Sha / Irregular Rhythm Asylum / No G8 Action Japanから本作がリリースされた。本作はタイトル通り、その北海道・洞爺湖で開催されるG8に反対するネットワーク "No G8 Action Japan" へのベネフィットだった。まぎれもなく先陣を飾るにふさわしい内容だと言えよう。 The Infernal Noise Brigade (以下I.N.B.) は、1999年・シアトルでのWTO会議に対する抗議行動の騒乱の最中にデビュー、その後、2000年・プラハでのIMF/世界銀行総会、2003年・メキシコ・カンクンでのWTO会議、2004年・ニューヨークでのアメリカ合衆国共産党全国大会、そして2005年・スコットランドでのG8会議など、世界各地の抗議行動の場にも現れた。彼らはそこにいた抗議者たちを終始鼓舞・乱舞させる熱演を繰り返してきたアナーコ・マーチング・バンドである。私はこうしたグループが存在することに人間の「生」に対する途方もない情熱を感じずにはいられない。 シアトルのアート系ニュースペーパー「ザ・ストレンジャー」がI.N.B.の「訃報」において、(I.N.B.の行動における)「最も重要で、かつドラマティックな出来事は警官隊との攻防戦」であると記していた。とりわけ東京におけるデモに参加したことがある人なら分かると思うが、そこでは終始、警察によって車道・歩道の両側から挟まれるという、いわゆる「サンドイッチ状態」の「光景」が権力によってつくり出される。それはまさに毎朝の出勤時、ホームの地下へと続く窮屈な壁に挟まれた階段を何の会話もなしに続々と人々が上り下りしていく「光景」と似ている。つまり、そのデモにおける「光景」と私たちが日々生きている (目にする) 「光景」はまったく同じだということである。私がI.N.B.に対して抱いた、その人間の「生」に対する途方もない情熱を私たちすべてが「共有」しうる鍵がここにあると思う。 私は彼らを生で体験したことはない。だが、本作を聴いて、あらゆるシステマチックな場面 ーつまり、前述したデモや日常の「光景」から「生」がみるみる解放されていくのを感じた。この感覚は私だけのものではないと信じたい。ー「最も重要で、かつドラマティックな出来事は警官隊との攻防戦」ー彼らは警察隊と対面するときこそ、私たちすべての「生」が解放されるチャンスであるーそう私たちすべてに伝えたかったのかもしれない。ここまで書いてきて、もうお気づきの方もいるかもしれない。あらゆる「壁」との攻防戦を抜きにして、I.N.B.の本質は見えてこないのだ。ここが凡百のマーチング・バンドと彼らの決定的な違いのような気がする。未発表音源を収録の全11曲。とにかく圧巻の一言だ。 そのI.N.B.の創設者であるFilastineは「…国境をぶっ壊すための国境を越えたサウンド・トラックを世界各地にばらまき続けるアナキストDJ…」ということだ。これは当時、本作の宣伝サイト (IRA) に掲載されていた紹介文から抜粋したものである。活きたリズム・電子実験・現場における標本抽出・多言語的なヴォーカルなど、広範囲のミックス・スタッフで創作される。革命の「音」はまさにその説明そのものだ。本作で聴くことのできるミックスは集大成的な大作である。 私はもっとも危険な幻想とは一つの現実しかないと信じることだと思っている。2008年7月、北海道・洞爺湖に集結した「G8」はまさにそのことを象徴しているものである。たった8カ国の首脳によって、あらゆる物事が決定され、人と人との繋がりが分断させられ、私たちの可能性が萎縮させられ、私たちの「生」は滅茶苦茶にさせられるのである。私たちはそのような「一つの現実」は絶対に拒絶しなければならない。本作には情熱・刺激・楽しさ、さらには「The Future Is Unwritten」(未来は何でも起こりうる)といったゾクゾクする感覚を提供する革命的な「音」が詰まっている。 Release date: 2008

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